新築住宅を建てたり購入したりしたときに、部屋の中は新築の臭いが充満しています。その臭いの原因は、建材などに使用された化学物質が、部屋の中に揮発したからです。
リフォーム後も、化学物質の臭いがしますし、新車の匂いも同様です。
このような化学物質のことを総称して、揮発性有機化合物(VOC)といいます。
VOC濃度が高い部屋にいると、気分が悪くなったり、めまいがしたり、喉が痛くなったりと、いろいろな症状が報告されています。そのような症状のことを、シックハウス症候群といいます。
シックハウス症候群は今から30年ほど前に、テレビなどで大々的に取り上げられるようになり、対策がすすみました。厚生労働省でも、13種類のVOCに対して、指針値が設けられています。(厚生労働省ホームページ「室内空気中化学物質の室内濃度指針値について」を参照)
化学物質の臭いが気になり、「それを除去したい」とお考えの方は、いろいろとネット検索でお調べのことと思います。
ベイクアウトとは?
室内の化学物質対策の一つとして、「ベイクアウト」という方法があります。
ベイクアウトとは、部屋の中を加熱して建材を温め、建材の中の化学物質を揮発させて、換気する方法です。
ベイクアウトで対策が出来たとすると、建材の中の化学物質の量が減りますから、揮発してくる量も減って、部屋の中のVOC濃度が下がることになります。
ベイクアウトは、一見すると効果がありそうですから、30年ほど前はよく利用されていた方法です。
ベイクアウトの方法

ベイクアウトによって、建材の内部から化学物質を揮発させるためには、ヒーターやストーブを使って、部屋の温度をサウナ並みに高め、その状態を何日か維持します。
ホルムアルデヒドなどの沸点の低い高揮発性有機化合物(VVOC)は、温度を30~40℃ほどでよく揮発します。最低でもその温度を維持することが求められます。
トルエンやキシレンといったものは、沸点が100℃以上ですから、できればサウナほどの高温にできたら理想です。
エアコンや電気ヒーターは、室温が高温になったらサーモスタット等の制御が働いて、電源が切れる仕組みになっていると思います。かといって、石油ストーブは部屋を閉め切ったままですと、一酸化炭素中毒の恐れがあります。そのため、部屋の温度を高温にすることが難しいです。
ベイクアウトが利用されなくなった理由
最近では、ベイクアウトはまったく聞かなくなくなりました。
その理由は、エアコンやストーブでは、部屋の中をサウナ並みに高めることができませんし、換気を行いながらになるので、さらに高温にすることが難しくなります。
去年、とあるご家庭で、「リフォーム後にクシャミが止まらなくなった」ということで、ネット検索でベイクアウトを発見し、大型電気ストーブをつけっぱなしにされた方がいらっしゃいました。そのときは真夏でしたが、室内の温度はせいぜい40℃くらいにしか高まりませんでした。
室温が40℃と言っても、すべての部屋で40℃にできたわけではありませんし、その程度の温度であっても、何日も維持するためには、かなりの電気代になったと思います。さらに、建材の内部まで40℃になったかと言えば、そうでは無いと思います。
そして、1週間ほど続けた結果、リフォームをした部屋では引き続きくしゃみが続き、「リフォームをしていない他の部屋でも、クシャミが出るようになった」とおっしゃっていました。ベイクアウトで、VOCが他の部屋に入っていってしまったようです。
このように、「ほとんど効果がない」ということで、今現在でも行っている業者はあると思いますが、20年ほど前から聞かなくなりました。
ベイクアウトの手間と効果の低さを考えると、他の方法をおすすめします。
弊社としては、光触媒コーティング剤メーカーでもありますが、一般論として、銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティング施工をおすすめしています。
銅ドープ酸化チタンによるVOC対策は、「リフォーム後にVOC濃度が下がらない場合のVOC対策」をご参照ください。
この記事の著者/責任者
株式会社イリス 代表取締役 島田 幸一 (Shimada Koichi)

私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。
運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。
現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。
その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。

