高齢者や要介護者を介護する施設では、たくさんの人がいるので、施設内感染対策として、抗菌が求められます。
また、介護者のベッドなどの消臭加工があると、入居者やスタッフのためにもなります。
そういったことで、介護施設では光触媒コーティングが注目されています。
しかし、光触媒コーティング施工は目に見えるものではないので、その効果の高さに疑問のある施工もあります。
この記事では、介護施設の光触媒コーティングとして、効果の高い施工を、光触媒メーカーの本音トークで解説します。
介護施設に光触媒コーティングを導入しようとされている運営組織様、施工業者様は、ぜひ最後までご覧ください。
光触媒コーティングとは?

光触媒とは、光が当たると抗菌や消臭といった効果を発揮する成分のことです。
光触媒コーティングとは、光触媒成分とコーティング成分が入った液剤(光触媒コーティング剤)を、専用のスプレー装置で塗布する施工のことです。光触媒コーティング施工ともいいます。
光触媒成分には、酸化チタンが用いられることが多いです。しかし、後ほど詳しく解説しますが、酸化チタンはまったくと言ってよいほど効果がありません。
そういったことで、どういった光触媒コーティング剤を選ぶかが、効果の高さの分かれ目になります。また、効果の持続期間も差があります。
どのメーカーも、「自社製品は効果が高い」と述べていますが、そのエビデンスとしての試験内容に、悪く言えば詐欺的な表現があるので、注意が必要です。その見分け方も、後ほど解説いたします。
光触媒コーティングの効果
さて、効果がある光触媒コーティングを行うと、次のような効果が期待できます。
- 抗菌
- 抗ウイルス
- 消臭/防臭
- 防カビ
- アレルゲンの分解
- 揮発性有機化合物(VOC)の分解
光触媒コーティングをすると、それだけでこれらの効果が得られます。もちろん、効果の高い光触媒コーティング剤を選んで施工したときのみに限ります。
光触媒のメカニズム
光触媒によって、これらの効果が得られるメカニズムをご説明します。次の図をご覧ください。

光触媒に光が当たると、その表面に電子が飛び出します。その電子が、空気中の酸素や水と反応して、OHラジカルと言われる活性酸素を発生させます。
OHラジカルは、強い酸化力を持つ活性酸素で、細菌やカビ菌、ウイルス、匂い成分や化学物質などに触れると、それらを酸化分解、もしくは不活性化してくれます。
例えば、細菌にOHラジカルが接触すると、細菌の表面にある粘膜や突起、細胞壁などを酸化分解し、細菌の活動を抑制したり、死滅したりしてくれます。
光触媒の種類と反応
光触媒と言っても、いろいろな種類があります。抗菌や消臭を目的とした光触媒コーティング剤として実用化されている主な光触媒の種類は、
- 酸化チタン
- 窒素ドープ酸化チタン
- 酸化タングステン
- 銅ドープ酸化チタン
この4種類です。これらの光触媒は、それぞれ性質が異なります。抗菌や消臭を行う上での光触媒に求められる性質は、室内の光で高い抗菌力や消臭力が得られることです。
それぞれの成分と、室内の光での効果を、ざっくりと表にすると次のようになります。
| 光触媒 | 室内での効果 |
|---|---|
| 酸化チタン | 効果なし |
| 窒素ドープ酸化チタン | 低い |
| 酸化タングステン | 低い |
| 銅ドープ酸化チタン | 高い |
これらの種類と効果について少し解説いたします。
酸化チタンの効果
酸化チタンは、紫外線が当たる環境であれば光触媒の中で、効果が高い分類に入ります。ところが、室内の光源となる、蛍光灯やLED照明の光には、紫外線がほとんど含まれていませんから、酸化チタンでは効果がありません。
酸化チタンを室内に利用すると、南の部屋の窓際で、直射日光が入ってくる部屋のみです。
ところが、そういった部屋でも、窓ガラスに紫外線カットガラスを用いていたら、効果はありません。

窒素ドープ酸化チタンと酸化タングステン
窒素ドープ酸化チタンとは、酸化チタンに窒素を結合させた光触媒です。「ドープ」は、添加したとか結合したという意味です。
酸化チタンは、単体だと紫外線にしか反応しませんが、窒素などの補触媒を結合させることによって、室内の光(可視光)でも反応するようになります。
酸化タングステンは、それ単体で可視光でも反応する光触媒です。
ところが、これらの成分は、ラボでの試験結果はわかりませんが、実際に光触媒コーティング剤として使用すると、効果が弱いことが知られています。
ですので、窒素ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティングのメーカーのホームページを見ると、「塗布面が白くなります」と記載されています。つまり、窒素ドープ酸化チタンの濃度が濃いものを利用しないと、効果が出ないことを意味します。
また、抗菌や消臭の試験結果には、「1,000Lxの蛍光灯の光を照射」とか「2,000Lxの蛍光灯の光を照射」と小さな文字で記載されて、「蛍光灯で抗菌ができる」というところだけ大きな文字で書かれていることがあります。
ここで、「Lx」とは「ルクス」と言って、簡単に言えば可視光の明るさの単位です。1,000Lxと言えば、手術室並みの明るさです。手術室並みの明るい部屋と言えば、直射日光が入り込む窓の大きなオフィスや、窓の大きな食堂の明るい箇所くらいなものです。
介護施設での抗菌や消臭は、一般的な部屋やトイレもあるため、非現実的な明るさです。そういったことで、200Lx程度の夜のリビングの明るさでも、高い抗菌力や消臭力のある光触媒コーティング剤を選ぶことが大切です。

200Lxでも効果があるのは銅ドープ酸化チタンだけ
最後に、銅ドープ酸化チタンですが、銅ドープ酸化チタンとは、酸化チタンに酸化銅を結合させたものです。
銅ドープ酸化チタンは、補触媒であるナノサイズの酸化銅の効果によって、200Lxといった薄暗い光の下でも、高い抗菌力や消臭力が得られます。
また、ナノサイズの酸化銅は、光が当たっていなくても、抗菌力や消臭力を持ちます。
もちろん、光が当たっているときの方が効果が高いのですが、暗所でも効果があることは、介護施設の抗菌や消臭では魅力的な効果だと言えます。
次の図は、大腸菌に酸化チタンと銅ドープ酸化チタンを塗布したときの抗菌力を、暗所にて調べたものです。銅ドープ酸化チタンを用いることで、暗所でも大腸菌の数が減っていることがわかります。

ちなみに、銅ドープ酸化チタンにて200Lxや室内の明るさで抗菌・抗ウイルスを確認したものは、次の種類がございます。
- ノロウイルスの抗ウイルス試験
- 黄色ブドウ球菌抗菌試験
- 大腸菌抗菌試験
- T4ファージ抗ウイルス試験
- 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)不活化試験
- カビ菌(真菌)抗菌試験
銅ドープ酸化チタンによって消臭できる匂いの種類
ドープ酸化チタンで分解消臭できる匂いの種類は、次のようなものがあります。
- 尿の匂い
- 加齢臭の匂い(2-ノネナール)
- トイレの匂い(アンモニアやトリメチルアミンなど)
- 下駄箱の匂い(イソ吉草酸など)
- 洗濯物の生乾きの匂い
- ペットの匂い
- カビの匂い
- タバコの匂い
- 生ゴミの匂い
- スパイスの匂い
- 焼肉の匂い
- 香水の匂い
- 布団の匂い
- 新車や新築の匂い(化学物質の匂い)
銅ドープ酸化チタンはさまざまな種類の匂いの分解消臭が可能です。ドラッグストアなどで市販されている消臭スプレーのような、「匂いを包んで消臭」といったものではなく、匂い成分そのものを酸化分解してしまいます。
また、抗菌力によって、匂いの発生源となる細菌の繁殖を抑え、抗菌防臭もできます。
最近では、ペットと住める介護施設もあります。ペットの匂いの防臭ができることも、銅ドープ酸化チタンの魅力です。
銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティング

銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティングは、弊社の製品であれば、屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)を使用します。
この製品は、弊社が世界で初めて銅ドープ酸化チタンを発見し、実用化した光触媒コーティング剤です。
成分には、銅ドープ酸化チタンとアモルファス酸化チタン、水の3種類しか使用していませんので、完全は無機塗料です。
介護施設のような、特定建築物では、防炎規制もあると思います。そういった施設でも、安心してご利用いただけます。
| 光触媒 | 銅ドープ酸化チタン |
|---|---|
| 接着剤(バインダー) | アモルファス酸化チタン |
| その他 | 水 |
成分の解説
銅ドープ酸化チタンは、先ほどご説明した通り、室内でも効果の高い光触媒成分です。
アモルファス酸化チタンは、非結晶の酸化チタンのことで、接着成分(バインダー)として添加しています。
アモルファス酸化チタンを利用して、光触媒コーティング液剤を製造する方法「ゾルゲル法」は、当時佐賀県窯業技術センターに所属されていた一ノ瀬博士が発見し特許取得されたものです。弊社では、一ノ瀬先生のお陰で光触媒コーティング液剤の開発ができました。
水は、純水を用いています。
水が蒸発して乾燥すると、アモルファス酸化チタンは塗布面で固化し、銅ドープ酸化チタンを強力に付着させます。銅ドープ酸化チタンの効果の持続期間は長くなり、最長で10年ほど効果が持続します。環境によっては、それ以上効果が持続することもあります。
樹脂を使った他社製品の耐久性
他社の光触媒コーティング剤には、バインダーにアモルファス酸化チタンではなく、樹脂などの有機バインダーを使った製品もあります。
先ほど、銅ドープ酸化チタンは、OHラジカルによって触れたものを酸化分解する性質があることをご説明しました。その対象は、有機バインダーにも及びます。
つまり、樹脂などの有機バインダーを使った光触媒コーティング剤は、耐久性が弱いため、効果の持続期間が短くなります。他社製品を調べていると、最長で5年ほどと、弊社の製品とくらべて半分以下の持続期間しかありません。短いものであれば、2~3年といったものもあります。
さらに、有機塗料ですから、防炎規制の対象となる場合もあります。
銅ドープ酸化チタンとアモルファス酸化チタンの組み合わせは、とても相性が良く、介護施設用途にも適しています。
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)の塗布方法
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)の塗布方法は、ABAC温風低圧塗装機を用います。屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)は、ABAC温風低圧塗装機で均一に塗布できるように、粘性などを調整しています。
次の写真は、ABAC温風低圧塗装機SG-91です。

写真上部の装置がブロワー、下側がスプレーノズルと塗料カップです。それらがホースで接続されています。ブロワーから、温風が噴き出すようになっています。
塗料カップに屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)を充填し、塗布面に吹き付けます。
介護施設内の光触媒コーティング箇所
介護施設では、次のような箇所に光触媒コーティングをすることをおすすめします。
- トイレ
- 個室などのベッドルーム
- 布団や布団カバー
- 廊下階段、それらの手すり
- 食堂や厨房
- テーブルやソファー、椅子
- お風呂場の天井
お風呂場の天井は、銅ドープ酸化チタンによって防カビができます。
お風呂場の壁は、水で濡れるため、銅ドープ酸化チタンだけでは防カビ力が落ちます。お風呂場の壁の防カビには、防カビ成分を添加したお風呂用光触媒コーティング剤を用います。
お問い合わせから施工までの流れ
お問い合わせから施工までの流れは、次の通りです。
- イリスにお問い合わせ
- 施工代理店をご紹介
- 見積もり、必要に応じて現地調査
- ご発注
- 施工実施
概算見積もり
概算のお見積もりは、施工面積に応じた費用と諸経費、出張費から算出できます。
施工面積に応じた費用は、施工代理店によって異なりますが、1㎡当たり2,500円~5,000円です。例えば、合計1,000㎡を施工する場合は、250万円~500万円となります。
これに諸経費として50,000円~100,000円と出張費(実費)がかかります。
これらの合算が、概算となります。
施工当日の工事の流れ
施工当日の工事の流れは、次の通りです。
- 機材準備
- 家具などの移動
- 施工しない箇所の養生
- ルミテスターでATP値チェック
- 施工面の清掃
- 下地保護剤(プライマー)の塗布
- 乾燥
- 屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)の塗布
- 乾燥
- 施工後のATP値チェック
施工しない箇所の養生とは、ビニールシートやビニールテープで、光触媒コーティング剤が掛かってはいけない箇所を覆う作業のことです。主に、ガラス面や電気機器類を養生します。
ルミテスターとは、キッコーマン製のATP値チェックができる装置です。ATP値とは生物汚れを数値化するもので、この数値が高いと細菌が多いとお考えください。施工後にもチェックして、数値が下がって抗菌ができていることをご確認いただきます。
下地保護剤(プライマー)について
下地保護剤(プライマー)については、少し長くなりますが、大切なことですので、正直にお伝えします。
プライマーとは、光触媒成分が下地に触れないようにする下地保護剤のことです。
銅ドープ酸化チタンを塗布した箇所に直射日光が当たると、その部分の銅ドープ酸化チタンが強く活性化し、壁紙などの有機物の下地を劣化を早めてしまうことがあります。
劣化を早めると言っても、下地がすぐにボロボロになるわけではなく、3年ほどかけて、少しずつクリーム色に変わったり、色あせしたりする現象が早まります。
3年ほどといえども、劣化していることには違いありませんから、それを防止するために、直射日光が当たる場所は、あらかじめ下地保護剤を塗布します。


下地保護剤の製品名は、屋内用プライマー(AS01)です。
この製品の材質は、アモルファス酸化チタンと水だけですから、無機塗料です。
塗布方法は、屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)と同様に、ABAC温風低圧塗装機を用いて行います。
| 接着剤(バインダー) | アモルファス酸化チタン |
|---|---|
| その他 | 水 |
以上、介護施設の光触媒コーティング施工について、メーカーの本音トークとして、おおよそ全体的に解説いたしました。
光触媒コーティングについて、もっと知りたい方は、弊社までお気軽にお訪ねください。


