光触媒の利用方法には、光触媒コーティング剤と光触媒塗料があります。
弊社は光触媒コーティング剤のメーカーですから、光触媒塗料は製造していませんが、光触媒塗料についてご説明いたします。
光触媒塗料とは?
光触媒塗料とは、ペンキのような顔料の入った塗料に、光触媒成分が添加された製品のことです。
ペイントローラーや刷毛を使って塗ることができます。
光触媒塗料に使用されている光触媒成分は、弊社で調べたところ酸化チタンのみです。光触媒にはいろいろな種類がありますが、光触媒塗料には酸化チタンのみが利用されています。
酸化チタンの性質
酸化チタンの性質は、紫外線が当たったときに抗菌や消臭、親水性といった効果があります。
ですが、紫外線が当たる場所と言えば、一般のご家庭であれば、外壁だけです。
室内でも昼間のひと時は、南側の部屋の窓際で直射日光が当たる場合もありますが、昼間に人がいない部屋であれば、酸化チタンを利用しても意味がありません。
そういったことで、酸化チタンは外壁用として利用される成分です。
一部、厨房や食品工場などで、紫外線ランプが使用されている場所もあります。紫外線ランプを使い、紫外線が当たる場所であれば、酸化チタンでも抗菌や消臭ができると思います。
光触媒塗料の効果
光触媒塗料の効果は、防汚です。
光触媒は、親水性と言われる効果があります。親水性とは、水と馴染む性質のことです。
光触媒塗料が塗られた外壁に汚れが付着しても、光触媒塗料と汚れの間に雨水が入り込み、汚れを浮かせて落としてくれる性質があります。
そのように雨水によって自動的に汚れが落ちていく効果のことを、「セルフクリーニング」といいます。
光触媒塗料を利用する理由は、セルフクリーニングにあります。
光触媒塗料のデメリット
北側の外壁は汚れることがある
光触媒塗料を利用すると、「外壁に汚れが付着しない」と勘違いなさる方もいらっしゃるので、ご注意ください。
なぜなら、光触媒塗料が効果を発揮する場所は、直射日光が当たる場所です。つまり、北側の外壁には直射日光が当たりませんから、効果が弱くなります。
以前に、「北側の外壁にコケが発生して汚れてしまい、防汚効果のあるコーティング施工をしてもらいたい」と光触媒塗料を施工した工務店からご相談がありました。
そのように、光触媒塗料を利用しても、外壁が汚れてしまってクレームになることもあります。
北側の外壁の防汚をしたい場合には、直射日光が当たらなくても効果のある光触媒の種類を選ぶ必要があるのです。
色あせが発生しやすい
光触媒塗料を利用すると、外壁の汚れは付着しにくくなりますが、光触媒塗料が色あせするという問題があります。
光触媒に直射日光が当たると、光触媒の効果が強く出てしまい、顔料を酸化分解して色あせしてしまうことがあるのです。
利用されている顔料が無機顔料であれば、分解されることはありませんが、有機顔料であれば分解されてしまい、色あせが起こります。
早ければ、施工してから半年くらいで、「何だか色あせした」と感じるほどです。
細かなひび割れが発生することも
また、何年か経過すると、光触媒が塗料の樹脂をも分解してしまって、一般的な塗料よりも早く、表面に細かなひび割れが発生することがあります。
細かなひび割れが起こっても、おそらく内部に水は入り込まないと思いますが、細かなひび割れのところに汚れがひっかかって、少しくすんだ感じになる可能性があります。
また、施主様からすると、細かなひび割れが発生し、心配になることもあります。
光触媒塗料を利用すれば、「外壁の汚れが目立たない」ということで、一時期流行しましたが、「色あせや劣化が起こる」ということで、全国でクレームが発生し、さまざまな塗料メーカーが撤退していき、今では数えるほどになりました。

